がんばれアグリハッカーズ!

農業の現場で役立つ情報・商品・アイデア・Tipsを紹介します

磁力で道具の持ち替えを効率化

鋸ケースにマグネットシートを装着

●塵も積もれば山となる

どんな仕事でも、一つ一つはわずかな時間しかかからないが、積み重ねれば数分、数時間という時間を費やしている作業は必ずあります。

農業においての一例は、道具の持ち替えでしょう。

たとえば果樹農家の場合は、剪定時にはハサミ、ノコギリ、カッター、テープなどをその都度、ベルトに掛けた鞘や工具入れから出し入れします。いちいち目線を落として確認してから出し入れするので、累積すると意外に時間のロスがあります。
またノコギリを出し入れする際にその歯で鞘の鯉口にあたる部分を削ってしまい、来年の剪定時には使えなくなってしまいます。ハサミ全般もしかりで、先端がケースの下に何度も当たることで穴が空き、貫通して飛び出してしまうことがあります。そうなると屈んだときに太腿に刺さってしまい危ないです。

要は目線を下に落とさず、道具を持ち替えられれば万事OKということです。
 
●磁力で道具を付けちゃおう
そこで私が提案するのは磁石です。
ハサミで切り取りできるマグネットシートをノコギリケースに着けてみました。
私が使ったものは裏面にシールがついていたので、そのまま貼り付けました。

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ちなみに私の先輩はビニルテープで補強しています。

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マグネットにはこのとおりノコギリがくっつきます。
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こうすれば都度ケースに収める必要はありません。一緒に腰に着けているハサミを使いたいなら、ノコギリを貼りつけたままハサミを取り出せます。
逆にハサミもくっつけ、ノコギリに持ち替えられます。
中身の入った缶コーヒーもつきます。飲みながら剪定できますね(笑)
 
とにかく色々付けてみました。
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こんなに付ける意味は全くないのですがw、下を見ずに手を伸ばし、道具の持ち替えが素早くできます。よく使う小さな道具も貼りつけたままにしておけば、工具入れからゴソゴソ出す手間も省けます。
こうなるとケースの役割は仕事終わりに道具をしまっておくだけ。出し入れによる損傷も少なくなります。
磁石にくっつかないプラスチックの道具にも切り取ったマグネットシートを付けてしまえば、ケースにピタっとくっつけることができますね。 
使わなくなったら軽トラに着けておくこともできますよ。

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余談ですが冷蔵庫に貼ってプリントを挟むこともできました。

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●磁石を着ける際のポイント
色々試してみたのですが、磁石も種類が色々あり、何でもいいというわけではありませんでした。
1.平面に装着する
接着面が多いほうがお互いくっつきやすくなりますので、なるべくならマグネットの方は平らな部位に貼ってください。
2.磁石の種類に気をつける
等方性と異方性のものがありますので、磁力が強い異方性を選んでください。
異方性の磁石は等方性の磁石の2~3倍の強さがあるそうです。
2つの性質の違いはこちらを参照ください。
3.用途次第で耐荷重を決める
ノコギリやナイフなど接着面が広くて軽いものを付けたいなら耐荷重3kgでも大丈夫ですが、作業で動いているといつの間にか下に落ちていることもありました。
なのでしっかり付くようにしたり、剪定ハサミのように重くて接着面の小さいものを付けたいなら6kgのものを選んでください。
2kgより下の磁石はノコギリも付きませんでした。
6kgのものはノコギリを付けたまま走っても落下しませんでした(3kgだと落下しました)。
 
ちなみに私は(株)マグエックスさんのマグネットシートを買いました。
コ◯ヨさんのシートはわりと何処でも手に入りますが、いかんせん磁力が弱かったです。
 
 
今回は果樹の作業で例を挙げましたが、他の作目でも道具の持ち替えが多い作業時にはこんな工夫もいかがでしょうか。今回のようなノコギリケース以外での応用もできると思います。
チリも積もれば山となるです。
ちょっとしたハックですが興味ある方は試してみてください。意外と捗ります。
 
 
 
 
 

当ブログについて

このブログでは農業の現場で役立つ情報・商品・アイデア・Tips(小ネタ)を紹介していきます。

 

タイトルの「アグリハッカー(ズ)」とは「ライフハッカー」から私がつくった造語です。

 

ライフハッカー(lifehacker)とは「効率良く仕事をこなし、高い生産性を上げ、人生のクオリティを高めるための工夫を実践している人を意味します。

アグリハッカーとはそれらの農業(agri)版です。

 

効率化というと真っ先に「大規模投資による大型農業機械の導入や施設の建設」みたいな話が浮かぶかと思いますが、基本的に取り扱いません。金や時間をかければ当然多くの物事は効率化できるでしょう。当ブログでは、あくまでちょっとした工夫でできるというところがポイント。大金や特別な知識や技術は要らない、普通に農業をしている人が普通にできることを紹介していきます。

 

ただしパソコンやスマートフォン、それらを利用したインターネットの利用などIT関連の話は取り上げます。「覚えるのが大変だからやらない」という人が農業の現場には結構いますが、はっきりいって損です。食わず嫌いにならずやってみることをお薦めします。コンピューター言語を覚えろとか、分解しろとか、難しいことは紹介しません。ITにおいてもあくまでちょっとした話です。パソコンを触った延長線上でできることを取り上げます。

 

まずはやってみようです。

そんな感じで気軽に誰もができるネタを、幾つかのジャンルに分けて紹介していこうと思います。

当方の記事が、皆さまの作業効率改善や新しいアイデアのヒントになれば幸いです。

 

 

※1

記事を読んで、「私はこんなふうにやってるよ」「もっとこうしたほうが便利だよ」と思いましたら、どんどんコメントください。便利な方法がシェアでき、あるいは新たな方法が生み出されるかもしれません。

どしどしご意見お待ちしています。

 

※2

既にITを使いこなしている人にとっては物足りない記事もあると思います。しかし私は当ブログが普通の農家がITを導入するきっかけになればいいとも思っています。農家の方ならわかると思いますが、現場での情報リテラシーは正直低いです。私も現場で働く生産者として、またライターとして現場を客観的に見る取材をしていて切に思います。

だからと言って「詳しくない人間は置いていってしまえばいい」とは私は思いません。農業は集落やコミュニティ単位で動く側面があります。すなわり周囲の作業改善が自分の作業改善にも跳ね返ってくる場合も多々あります。

またITに疎い方が栽培技術においてはかなり高度なものを持っている場合も多々あります。情けは人の為成らず。情弱などと切り捨てるのではなく、共に高め合っていければ良いと思っています。

 

 ※3

アホみたいなこともたまにやりますが、暖かく見守ってください